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大人にとっての発達障害とタイプ論(エイメン博士)
[2012年11月05日]

大人のAD/HD

 

以前は大人になればAD/HDは消失すると考えられていましたが、成人以降も30%~70%の割合でAD/HDの診断がつくか、残遺症状を持つとされています。しかし、成人では見かけの多動が減る傾向があることと成人のAD/HDへの理解が少ないことから、診断と治療が行われないことが多くあります。成人においては、興味・関心の隔たり、人の話を最後まで聞かない、あれにもこれにも手を出すが、どれも終わらず、他人が後始末している、他人の気持ちや立場を理解しにくいといった注意の障害があります。また、非常にイライラさせられるとコントロールできなくなり、カッとなり、過敏で不適切な行動をとるといった衝動性の問題が見られるとされています。本人が努力しようとしている場合でも、人と同じように行動できないことが多く、周囲の理解や本人自身の理解もないことが原因で、劣等感からうつ病や不安障害などの二次障害を生じる危険性も高いと言われています。

また、女性の場合、月経前の時期、気分変動や不安、抑うつを覚えることがあり、時にはそれによってかなり心身が消耗する場合があります。さらに、AD/HDの一部で月経前症候群(PSM)や更年期のために症状が悪化する傾向が見られます。

(『成人のADHD臨床ガイドブック』 ロバート・J・レズニック著 東京書籍 参照)

 

分かってきている症状と生物学的視点

 

 以下に、子供に限らず大人のAD/HDに対しても一考するに値する研究として、エイメン博士の視点を紹介します。エイメン博士は、AD/HDをADDとして表記し、AD/HDをADDの典型的な状態像であると述べています。以下、エイメン博士の視点の紹介ではADDと書いていきます。

 

 原因は定かでない部分が多いものの、現在は脳の研究も進んできています。エイメン博士はアメリカの精神科医ですが、人の状態と脳の活動を比較していくことで、問題を明確にして対処をしていくアプローチを中心に進めております。

 

エイメン博士はADDを6つのタイプに分けています。簡単にその分類を見てみましょう。

 

タイプ1:典型的ADD

 

ちょっとした事ですぐに集中が途切れ、何につけても注意集中が短く、用事や頼まれ事をなかなか仕上げられないし、計画的に見えない。うっかりミスが多く、しょっちゅう動き回っていて落ち着かない。衝動的で順番を待つことが困難。

 

タイプ2:不注意型ADD

 

注意集中困難や計画性のなさはタイプ1と似ているが、空想気味で無気力そうに見えたり、動きが鈍く、心配ごとで頭がいっぱいになっているようにも見える。

 

タイプ3:過集中型ADD

 

必要以上に、不合理な事を気にしてそのことから離れられなかったり、やりたくないと思っていることをやってしまうことがある。気持ちの切り替えが困難で、色々な選択肢を見比べるのが困難になり易い。一度パターンや癖になったことはなかなか変えられず、思い通りにいかないと気にいらない。

 

タイプ4:側頭葉型ADD

 

些細な事でひどい爆発を起こす。混乱したり特に原因がなくパニックに陥ったりする。神経質で軽い妄想も見られることがある。頭痛や腹痛といった身体症状が確認されたり、過去に頭を強く打つなど怪我をしたことがある。

 

タイプ5:辺縁系型ADD

 

むっつりと不機嫌でマイナス思考が多い。基本的にエネルギーレベルが低く孤立しがちである。普通なら楽しいはずのことにあまり興味が感じられず、睡眠傾向の変化を伴うこともある。以前からの自尊心の低さもある。

 

タイプ6:火の輪型ADD

 

怒りに満ちていて、攻撃的である。音や光、接触にとても敏感で、気分変化が激しく周期的。融通がきかず、意地悪になったり、残酷になったり、無神経になったりする時期がある。時には普段以上に早口でおしゃべりになる時期がある。不安そう、臆病そうに見えることもある。

(『「わかっているのにできない」脳』 D.エイメン著 花風社刊 参照)

 

 以上概観すると、かなり広く症状が指摘されているので、すべての問題と思われるようなことが発達障害と関連するのではないかとも感じてしまうかもしれません。あくまでも上記タイプは脳画像診断により見出されたものであることを付け加えておきます。大切な視点は、発達障害は神経生物学的障害であって、個人の性格の問題と同じにしてはならないということです。

 

カウンセリングの活用

 

 発達障害は、日本でもまだまだ理解が遅れている分野で、適切な医療機関による受診で確認してもらうことが有益です。しかし、多くの専門の医療機関では数ヶ月先まで予約が一杯になっていることも多いようです。

 発達障害がある人は、自分の生きづらさが「性格が悪いのが問題で、だめな人間なんだ」といったように思い込まざるを得ない経験をしてきている人も多くいます。

 医療的アプローチと平行して、カウンセリングを通して自分の状態とどのように付き合っていくのか、探していきます。その中で認知行動療法などを活用し、前述のような自分自身への不適切な思い込みによってこれ以上自分を苦しめてしまうことがないように、自分をどのように捉えていけるのかを一緒に探していきます。

 また既に医療につながって援助を受けている方も、医療的アプローチの後に社会への新しい適応スキルの習得が必要になります。そのようなスキルの獲得も、カウンセリングやグループワークの中で行っていくことが出来ます。

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