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[2014年09月08日]

パニック障害は、身体的な状態に対する不安の高まりでもある。

パニック発作が生じたとき、例えば過呼吸になったとする。過呼吸は、酸素の血中濃度が高まり、身体的なときに激しい不快感を感じるのであるが、酸素と二酸化炭素の血中バランスがもとれば落ち着いていく。

過呼吸になっているとき、身体的な”異常”を示すものさしは急上昇する。

同時に、”不安”といった心で”異常”をキャッチするものさしも同時に急上昇するのが普通である。

 

実際には、この二つのものさしは連動するものの、パニック障害の治療においては、別々に機能するものであるという練習が必要になる。

身体感覚暴露などは、そのための重要なアプローチである。

 

意図的に、過呼吸を発生させたり、心臓の動悸が高まるような活動をし、その身体感覚のものさしが訴えていることと、心のものさしが連動して動こうとすることを意識的に分離するのである。

そのことにより、パニック発作が生じても、決して心地よくはないものの、予期不安という「パニックになるのではないか」という保証ができず終わりのないものに囚われなくなるのである。

 

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[2014年09月04日]

パニック障害に苦しむ方の多くは、長く治療を受けていないという報告がある。 パニック発作は、一見何の理由もなく、突然、窒息感や心臓の鼓動の早まり、めまい、発汗、手のふるえなどが生じることである。実際には、生活上のストレスと心理的葛藤により生じやすくなり、悪化するときもあるということである。

 

ただ、パニック発作は、ストレスの改善や状況の変化により、自然に消失するのが殆どである。 この、パニック発作が生じること恐れて、「発作が起こったらどうしよう」との心配が過剰になってくると、いつもどきどきしながら待ち、かつパニック発作が起こっても大丈夫なような場所や準備を入念にしなければならなくなり、【パニック障害】へと繋がってしまうのである。

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[2014年08月29日]

DSM-5において、DSM-Ⅳ-TRまでは研究対象として正式な診断としてはされてこなかったものが、主要な診断名として、つまり【過食性障害(Binge-Eating Disorder)】として格上げされた。

 

誤解を恐れずざっくり言うと、過食を繰り返しながらも、下剤や嘔吐などといった行為によってその過食をなかったものにするという行動をしていない人たちへの診断として作られたらしい。

 

Frances,A.は、その著書「DSM-5 精神疾患診断のエッセンス」において、この診断名を利用は避けることが、過剰診断を避けることであると指摘している。

そのことのメリットもデメリットも含め、見守っておきたいところではある。

 

食べすぎをコントロール出来ないことは、”病気”というのだろうか。

”病気”ということで、かつてのアルコール依存症のように本人の意志の強さの問題ではなく、治療の対象であるとされることで、問題への取り組みが進むのであれば望ましい。

ただ実際の取り組みも、いかに工夫するか、ということになる。食べ過ぎることで、悩んでいる人は決して少なくない。近年は、女性に限らず男性もダイエットに励むのである。

気合や根性ではなく、工夫を共有することで、課題を乗り越えるお手伝いとしたい。

 

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[2012年11月05日]

第45回カウンセリング学会にて、玉井(当カウンセリングセンター部長)が

 

“新型うつ”をとりまく現状と構造についての心理学的一考察 ~拒絶の時代における病理~

というタイトルで口頭発表しました。

新型うつの様々な原因的理解、症状学的理解ではなく、心理学的理解として

①対象拒絶の傾向の強さ、②自己効力感の弱さ、③諦めなどの激しさとその波、としてまとめ、

対応を議論しました。

”甘え”という意見も出る中、関係性をどの様に作りうるのか、また当事者が抱えている課題を”甘え”と

捉える事のメリット/デメリットも検討し、発達的な視点も取り入れながら、苦しい当人が

抱えている課題をどの様に捉える事が有効なのか、有意義な検討となりました。

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[2012年11月05日]

【生物学的要因】活動領域について、シナプスなど

うつ病の発病における生物学的原因として、まず脳内の「セロトニン」、「ノルアドレナリン」など、神経細胞の情報を伝える伝達物質の不足が考えられています。

セロトニンおよびノルアドレナリンは、一旦は神経細胞の末端から放出されて、再び元の神経細胞に取り込まれます。この取り込みの働きを担っているのが、二つの神経細胞の間の隙間『シナプス』前にある、『トランスポーター』です。このトランスポーターは、いわばポンプのように働いており、セロトニンやアドレナリンを吸い取り、神経細胞の受容体と結びつきにくくし、それらの伝達物質が不足させます。

セロトニンは「不安」、ノルアドレナリンは「意欲」に関わる物質と考えられており、これらが不足することで、考え方が「悲観的」になったり、気力が低下します。

 

【診断基準】

米国精神医学会(APA)から出版されている『精神疾患の診断・統計マニュアル:DSM-Ⅳ-TR』では、大うつ病エピソードの診断基準に関しては、表1のようになっています。表1の基準を満たした上で、その症状で、社会的、職業的障害をきたしていること、身体疾患や薬物によるうつではないことが確認されると、大うつ病と診断されることとなります。

またWHO(世界保健機関)による、ICD-10『精神および行動の障害』では、うつ病エピソードは、表2のような診断基準となっています。

●以下の9項目のうち五つ以上が2週間以上持続している。

  

①     抑うつ気分

②     興味または喜びの消失

③     体重減少あるいは体重増加

④     不眠あるいは過眠

⑤     精神運動性の焦燥あるは静止

⑥     易疲労感や気力の減退

⑦     無価値感や罪業感

⑧     思考力や気力の減退

⑨     自殺念慮や計画、企図

 

 

●3種類(軽症、中等症、重症)の典型的抑うつエピソードは次の3つ。

①     抑うつ気分

②     興味と喜びの喪失

③     活力の減退による易疲労感の増大

●上記以外にも一般的なものとして

(a)   集中力と注意力の減退

(b)   自己評価と自信の低下

(c)    罪責感と無価値感(軽症エピソードであってもみられる)

(d)   将来に対する悲観的な見方

(e)    自傷あるいは自殺の観念や行為

(f)     睡眠障害

(g)   食欲不振

 

               

【治療方針およびかかわり方】

―専門家による治療―

 治療の中心は、薬物療法と精神療法になります。しばしばうつ病の方は悲観的な考えに陥りがちで、自分の状態が治らないものだと感じていることが多いので、適切な治療によって回復する可能性を専門家らが確信をもって説明していくことが治療の第一歩となります。

 薬物治療は、主に抗うつ剤や、副作用の少ないSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが主に使用され、症状を軽くします。また薬物療法と並行して精神療法も行うことでより治療が効果的になります。精神療法は具体的に「認知療法」「認知行動療法」「対人関係療法」などが行われています。

 

―周囲のサポート―

 専門家の治療ももちろんですが、適切な薬物療法、精神療法を行ったうえで、本人の家族や職場の人々など周囲のサポートも非常に重要になってきます。うつ病は「心の風邪」と言われるくらい、一般的によく知られているにも関わらず、以外に周囲の人から理解されていないという側面もあります。そこから、「怠けている」「だらだらしている」「精神的に弱いから」などと思われ、患者本人が苦しむこともあります。

しかし、うつ病になる人には、几帳面で真面目な人が多く、「だらだらしている」「怠けている」と他人から指摘される前に、「自分は怠けて、だらだらしているんじゃないか」と自分自身を責めていることがあります。周囲の人が、そういったパーソナリティーを良く理解、共感しつつ、支持的に接していくことが必要となるでしょう。

 

―治療に潜む危険―

 うつ病の治療においては、患者の命に関わる危険な要素がいくつかあります。まずは「自殺念慮」が挙げられるでしょう。このとき「死にたくなるほど」つらい気持ちに共感することと同時に、自殺しないことを【約束】してもらうことも重要となります。そして、もう一つの危険要素は症状の「回復期」に表れてきます。回復期には「意欲」が出てくるために「自殺念慮」を実行に移してしまうことがあり、これは細心の注意が必要です。病状には波があり、浮き沈みを繰り返して、徐々に回復に向かうことを伝えることも必要となります。

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[2012年11月05日]

 

先日来談したMさん(男性47歳)も、うつ病になったがそれで良かったと言う。しかし、そう思えるには、それなりの「ドラマ」(物語)を作れる必要がある。

 サラリーマンのMさんは、グチ一つこぼさない頑張り屋だった。自分は秀でるものがないので、とにかく努力するしかなかったという。成果が出なくても「自分のせい」と思い、一切周りに責任転嫁しない。それがMさんの志と信念であり、そうすることで自分を認め、支えてきた。しかし、ある出来事で、それが見事に崩れさった。

 「お前取り返しのつかないことをしてくれたな」と顧客に冷ややかに言われた。コンピュータートラブルのミスがあり、みんなで築き上げてきたものが無になった。それ以来Mさんは、その言葉を思い返すたびに「今までの努力はなんだったのか」と悲観し、虚しさの世界に陶酔するようになる。

 うつ病で入院したとき、家族は「あなたはよく頑張ったから疲れたのよ」「オレたちのことは心配しなくていいから」と慰めてくれた。上司も、「ゆっくり治療すればいい。必ず待ってるから」と、暖かい眼差しを向けてくれたという。家族や上司に励まされながら、Mさんはうつ病を噛みしめ、考えるようになった。真面目に取り組みすぎたのか?いや、みんなもそれなりにやっていた。自分は弱すぎたのではないか…そうじゃない。「自分さえ我慢すれば」と耐えてきた。とにかく、周囲に迷惑や心配をかけたくなかった。それに自分の沽券にかかわることだった。だから、誰にも本音は見せなかった。でも、少しは生き方を変えてもいいのか?家族や上司の言葉を追想し、涙が止まらなくなった。毎日毛布を被って泣いた。こんなことは人生で初めてのことだ。今思うと、そんな自分も無性に可愛い。「お父さん、最近少し変わったね」と家族が言う。その言葉がなぜか嬉しくて、私の人生は満更でもないと思えた。

 

うつ病とは

うつ病とは「情動の障害」であり、基本的特徴は広範な気分の落ち込みが挙げられます。その生涯有病率は10%にのぼり、精神疾患の中でも高い罹患率であるとして知られています。日本では40~60歳代の中高年に多く、患者数は数百万にのぼると見られています。

その主な症状として、まず「体に表れるもの」としては、①不眠、②食欲の低下、③性欲の低下、また「心の状態や行動に表れるもの」としては、①抑うつ気分、②興味や喜びの喪失、③意欲、気力、自信の低下、④悲観的な思考、⑤思考力、決断力の低下などが挙げられます。

これらの症状が長く続くと次第に絶望感が強まり、「死」について繰り返し考えたり、自殺念慮、自殺企図が表れ、最悪の場合は自殺に至ることも考えられます。

 

 

うつ病の原因

 うつ病の発症には、心理学的要因、社会学的要因、生物学的要因の3要素が絡み合っているといわれています。その人の性格(心理学的要因)や職場や家庭環境、経済的状況(社会的要因)、また最近では生化学、脳科学の進歩から、脳内物質がその発症の原因となっていること(生物学的要因)も研究されてきています。

 

【心理学的要因】

うつ病患者には、多く見られる特有の性格特性が存在します。ここでは言及されることの多い3つの性格分類に関して説明します。

 

まず一つに、ドイツの精神医学者であるクレッチマーの挙げた『循環気質』が挙げられます。彼は性格を大きく3つのタイプに分けていますが、その中でも、循環気質は①社会的、②善良、③親切、④同調性という特徴をもっていて、ここから「陽気で活発、行動的」という方向に向かっていくタイプと「物静かで柔和、無口」という方向に向かっていくタイプの両極を考えています。

 

二つ目は、日本の下田光造が提唱し、山下格によって整理された『執着気質』があります。これは①固執、熱心、徹底性、②義務感が強く、良心的でまじめ、③几帳面で完全主義という3つの性格傾向によって構成されています。このような性格から、過労を強いられる状況でも、休養をとることができずに無理な活動を続けるため、うつ病発症の原因となることが考えられています。

 

三つ目には、ドイツのテレンバッハの主張した『メランコリー親和型』というタイプの性格が挙げられます。このタイプの人は①実直、②几帳面、③高い要求水準のため、思っていたよりわずかに仕事ができなかった場合に、過度に自分を責め、些細な失敗にも強い罪悪感を抱いてしまいます。また対人関係でも、他者へ「配慮する」、「尽くす」ことが重視されて、他者と過度に一体化して生きようとします。これは逆に言えば、他者の存在や、他者の評価がその人にとって非常に大きなウェイトを占め、それが失われてしまった場合には、その脆さが浮き彫りになって、一気に崩れてしまうとも言えます。

 

【社会的要因】

うつ病発症においては、その患者を取り巻く環境、またその環境の変化も重要な要因として考えられています。具体的には、都市生活でのストレスフルな生活、配偶者との死別、離婚、別居、失業や信頼できる人間関係のないことなどが挙げられます。

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[2012年11月05日]

うつ病の方への対応

  • 安易な励ましはしない

 うつ病になってしまうと、極端に自己評価が下がってしまいます。ですから、健康な人にとってごく当たり前に思えるような励ましの言葉も、うつ病の方にはとても自分には実現できないことのように響くことが少なくありません。決して安易な励ましをしないで、ゆっくりと休養や治療に専念できるようにしてあげることが大切です。また、「元気がないから、飲みに行こう」「気分転換のために温泉に行こう」といった具合に、気晴らしに誘うのも本人が苦痛に感じることがあります。皆が自分のことを思ってくれて、宴会を設定してくれたのに、盛り上がっている周囲の人々に比べて、自分の惨めな気分が際立ってしまって、さらに抑うつ感が強くなることがあります。

 

  • 心の支えになる、非難しない

 うつ病の方は自責感から自分を貶めるような言葉をしばしば口にします。それを毎日のように聞かされていると、周囲のほうがとても耐えられなくなることがあります。そんな時にも、相手の苦しい上体を思いやって、心の支えになってあげることが大切です。たとえ事実であったとしても、うつ病の方に向かって非難するようなことは避けましょう。相手は今、怠けているのでもなく、明らかに病気の状態にあります。徹底的に聞き役に回りましょう。

 

  • 必ず治るので、焦らない

 なかなか直らない、あるいは、病状に一進一退があると、周囲のほうが参ってしまうことがあります。そして、わらをもすがるような思いで、テレビなどによく出演しているいわゆる「名医」のもとに連れて行こうとなどと思ったりするものです。そういった周囲の人々の態度に敏感に反応して、本人の不安感が強まってしまうことも良くあります。周囲以上に本人が不安であることをよく理解して、周囲の皆さんはどっしりと構えていましょう。

 

  • 自殺をほのめかしたら、それを決して軽視しない

 自殺をほのめかすということは、信号が黄色から赤に変わったというサインと考えましょう。「家族のことも考えずに馬鹿なことをするはずがない」「ただ皆を脅かそうとしているだけだ」などと考えたりしないで、真剣に訴えを聞きましょう。そして、すぐに担当医に連絡して、どのように対応したらよいか相談しましょう。

 

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[2012年11月05日]

◆       薬物療法

うつ病に対しては、抗うつ薬の有効性が臨床的に科学的に実証されており、薬物療法が治療の主軸となります。およそ7割の方に薬が効くといわれています。うつ病では、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質が減少していることがわかっており、抗うつ薬では、神経終末のセロトニンやノルアドレナリンの再取り込みをブロックし、それらの量を正常に近い状態に戻すことにより、抑うつ状態を改善します。抗うつ薬には、三環系、四環系、SSRI、SNRIなどいくつかの種類があります。従来より用いられてきた三環系あるいは四環系抗うつ薬は、セロトニンやノルアドレナリン以外にも作用するため、口渇・便秘・眠気などの副作用が比較的多くみられました。それに対し、近年開発された、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)はセロトニンまたはセロトニンとノルアドレナリンのみに作用するため、副作用が少ないとされています。

また、抗うつ薬の効果は必ずしも即効的ではなく、効果が明確に現れるには1ないし3週間の継続的服用が必要です。このことをしっかりと理解して服薬する必要があります。

 

◆      心理(精神)療法

 心理(精神)療法とは一般にカウンセリングと呼ばれているものです。うつ病にはストレスが関連していることも多くあるため、心理療法ではまず自分の不満や問題を吐き出し、心を楽にしていきます。また、じっくりと話をすることで、無理な生活習慣やものの考え方のクセなど、うつ病になってしまった背景を探っていくことができます。長年かけて形成された思考パターンは、そう簡単に変わるものではありませんが、時間をかけて自分の心の内面をみつめることで、今まで気づかなかった悪い部分に自分から気づくことも多くあります。また、その中で、自分にあったストレス対処法を習得し、最終的には将来同じような問題が生じた際にも自分で対応できる力を身につけることを目標として行います。

 

◆       認知(行動)療法

認知(行動)療法はベックによってつくられたもので、うつ病に用いられる代表的な心理療法です。比較的軽い方、再発を繰り返す方には有効であるといわれています。

うつ病の基本症状は感情の障害なのですが、「うつ」の結果として、悲観的に考え、意欲や行動にもブレーキがかかります。ベックは状況そのものによるのではなく、それを主観的にどう認知するかが、感情に大きく影響する事実に注目して、主に思考の面、すなわち認知のゆがみに働きかけ、次いで行動の面に働きかけて、悪循環を改善しようとしました。つまり、認知(行動)療法では、抑うつ的な認知のゆがみと、その感情や行動との関係に本人が気づき、検証し、修正することを援助して、症状の改善を図ります。問題を全て解決することを目標とせず、より適応性のある対処の仕方を体得して、問題を処理できるという感覚を増すことを目標として行います。具体的には、まず苦しみや悩みに十分耳を傾けながら、具体的な問題を明確にして、本人が解決策に気づくよう援助するというものです。

 

◆       電気けいれん療法(ECT)

頭皮の上から電流を通電し、人工的にけいれんを起こす事で治療を行うものです。薬物療法が効かない場合や自殺の危険が切迫している場合などに使われます。即効性があり、約8割の方に効果があることがわかっています。最近は、より安全で苦痛のない「修正型電気けいれん」療法が普及しつつあります。ただし、その効果は長続きせず、放っておくと半年間で5~8割がまた悪化すると報告されています。このため、電気けいれん療法実施後は薬物療法や認知(行動)療法などを続け、再発を防止することが重要です。

 

◆       光療法

光療法は強い光(太陽光あるいは人工光)を浴びる治療法です。この方法は、過眠や過食が見られる、冬型の季節性うつ病に効果があるといわれています。光療法は、季節性うつ病の方に対し、ちょうど抗うつ薬と同じ作用をし、脳の神経伝達物質のひとつであるセロトニンとドーパミンの生産を増加して、抑うつ状態を改善します。

 

◆       運動療法

うつ病が慢性化した方等に用いられます。運動療法の作用機序として、①体を動かすことによって心身のリズムが整えられ、活性化が促進される、②「計画的に活動させることで、「あせり」や「やりすぎ」を防止し、行動をコントロールコツが体得できる、③体を動かしても疲れない体験を積み重ねて、不安を取り去り、自信を回復できる、などが考えられます。科学的研究によれば、基本的な運動によって、エンドルフィンというホルモンが多く分泌されて、それが気分を改善したり、うつ状態を改善するということがわかっています。具体的な内容としては、ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど、一人でできて、しかも安定した有酸素運動(ゆったりとした持続的な呼吸を伴う運動のこと)が最適であるとされています。また、リズミカルな運動がセロトニン神経を鍛えるため、「丹田呼吸法」がよいともいわれています。

 

◆       断眠療法

断眠療法は、ドイツのシュルテによって提唱された治療法です。強制的に睡眠を断つことによって、抗うつ効果が出るといわれています。当初は、睡眠をまったく取らせない全断眠が主体でしたが、現在では、夜間後半部の部分断眠療法が最も有効であるとされています。また、睡眠の脳波を記録しながら、選択的にレム睡眠のみを遮断する方法もあります。副作用がほとんどない治療法であるため、妊婦、高齢者など薬物療法が困難な場合、その他の治療法の反応がよくない場合等によいと考えられています。ただ、断眠療法がなぜ有効なのかについてはまだ結論が出ていません。

 

◆       ハーブ

セントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)というハーブが有名です。セントジョーンズワートには、軽度から中等度のうつ病(抑うつ気分、イライラ、不眠、睡眠過剰、疲労感、絶望感など)に、従来の抗うつ薬と同じくらいの効果が見られるといわれています。

※     ただし、抗うつ薬との併用による副作用があるとの報告もあるので、注意が必要です。

 

◆       アロマ

アロマの種類によってはホルモンのバランスを調整する働きがあります。ローズ、ジャスミン、ローマンカモミール、などは、女性特有の抑うつ気分に効果を発揮するといわれています。

 

参考文献

AERA LIFE 職場のうつ―復職のための実践ガイド

うつ 高橋祥友

現代のうつ病―治療の実際と私の「処方箋」 渡辺昌祐

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[2012年11月05日]

大人のAD/HD

 

以前は大人になればAD/HDは消失すると考えられていましたが、成人以降も30%~70%の割合でAD/HDの診断がつくか、残遺症状を持つとされています。しかし、成人では見かけの多動が減る傾向があることと成人のAD/HDへの理解が少ないことから、診断と治療が行われないことが多くあります。成人においては、興味・関心の隔たり、人の話を最後まで聞かない、あれにもこれにも手を出すが、どれも終わらず、他人が後始末している、他人の気持ちや立場を理解しにくいといった注意の障害があります。また、非常にイライラさせられるとコントロールできなくなり、カッとなり、過敏で不適切な行動をとるといった衝動性の問題が見られるとされています。本人が努力しようとしている場合でも、人と同じように行動できないことが多く、周囲の理解や本人自身の理解もないことが原因で、劣等感からうつ病や不安障害などの二次障害を生じる危険性も高いと言われています。

また、女性の場合、月経前の時期、気分変動や不安、抑うつを覚えることがあり、時にはそれによってかなり心身が消耗する場合があります。さらに、AD/HDの一部で月経前症候群(PSM)や更年期のために症状が悪化する傾向が見られます。

(『成人のADHD臨床ガイドブック』 ロバート・J・レズニック著 東京書籍 参照)

 

分かってきている症状と生物学的視点

 

 以下に、子供に限らず大人のAD/HDに対しても一考するに値する研究として、エイメン博士の視点を紹介します。エイメン博士は、AD/HDをADDとして表記し、AD/HDをADDの典型的な状態像であると述べています。以下、エイメン博士の視点の紹介ではADDと書いていきます。

 

 原因は定かでない部分が多いものの、現在は脳の研究も進んできています。エイメン博士はアメリカの精神科医ですが、人の状態と脳の活動を比較していくことで、問題を明確にして対処をしていくアプローチを中心に進めております。

 

エイメン博士はADDを6つのタイプに分けています。簡単にその分類を見てみましょう。

 

タイプ1:典型的ADD

 

ちょっとした事ですぐに集中が途切れ、何につけても注意集中が短く、用事や頼まれ事をなかなか仕上げられないし、計画的に見えない。うっかりミスが多く、しょっちゅう動き回っていて落ち着かない。衝動的で順番を待つことが困難。

 

タイプ2:不注意型ADD

 

注意集中困難や計画性のなさはタイプ1と似ているが、空想気味で無気力そうに見えたり、動きが鈍く、心配ごとで頭がいっぱいになっているようにも見える。

 

タイプ3:過集中型ADD

 

必要以上に、不合理な事を気にしてそのことから離れられなかったり、やりたくないと思っていることをやってしまうことがある。気持ちの切り替えが困難で、色々な選択肢を見比べるのが困難になり易い。一度パターンや癖になったことはなかなか変えられず、思い通りにいかないと気にいらない。

 

タイプ4:側頭葉型ADD

 

些細な事でひどい爆発を起こす。混乱したり特に原因がなくパニックに陥ったりする。神経質で軽い妄想も見られることがある。頭痛や腹痛といった身体症状が確認されたり、過去に頭を強く打つなど怪我をしたことがある。

 

タイプ5:辺縁系型ADD

 

むっつりと不機嫌でマイナス思考が多い。基本的にエネルギーレベルが低く孤立しがちである。普通なら楽しいはずのことにあまり興味が感じられず、睡眠傾向の変化を伴うこともある。以前からの自尊心の低さもある。

 

タイプ6:火の輪型ADD

 

怒りに満ちていて、攻撃的である。音や光、接触にとても敏感で、気分変化が激しく周期的。融通がきかず、意地悪になったり、残酷になったり、無神経になったりする時期がある。時には普段以上に早口でおしゃべりになる時期がある。不安そう、臆病そうに見えることもある。

(『「わかっているのにできない」脳』 D.エイメン著 花風社刊 参照)

 

 以上概観すると、かなり広く症状が指摘されているので、すべての問題と思われるようなことが発達障害と関連するのではないかとも感じてしまうかもしれません。あくまでも上記タイプは脳画像診断により見出されたものであることを付け加えておきます。大切な視点は、発達障害は神経生物学的障害であって、個人の性格の問題と同じにしてはならないということです。

 

カウンセリングの活用

 

 発達障害は、日本でもまだまだ理解が遅れている分野で、適切な医療機関による受診で確認してもらうことが有益です。しかし、多くの専門の医療機関では数ヶ月先まで予約が一杯になっていることも多いようです。

 発達障害がある人は、自分の生きづらさが「性格が悪いのが問題で、だめな人間なんだ」といったように思い込まざるを得ない経験をしてきている人も多くいます。

 医療的アプローチと平行して、カウンセリングを通して自分の状態とどのように付き合っていくのか、探していきます。その中で認知行動療法などを活用し、前述のような自分自身への不適切な思い込みによってこれ以上自分を苦しめてしまうことがないように、自分をどのように捉えていけるのかを一緒に探していきます。

 また既に医療につながって援助を受けている方も、医療的アプローチの後に社会への新しい適応スキルの習得が必要になります。そのようなスキルの獲得も、カウンセリングやグループワークの中で行っていくことが出来ます。

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[2012年11月05日]

増加してきている発達障害?

 

 近年、発達障害は増えてきていると幾つかの学会などでも指摘され始めております。昔は発達障害に対しての詳しい診断が確立されていなかったため、発達障害が看過されてきたというのも一因だと言われています。そのほかの原因としては、遺伝、テレビやコンピューターの広がりによって自ら考える力が減退しているのではないか、食生活の変化や環境ホルモンの影響、運動不足などが幅広く指摘されています。

また、最近は遺伝子レベルでの研究が進み、この障害を引き起こす可能性を持つと考えられる3つの遺伝子が、1995年に発見されました。分娩時の異常、体内でのアルコールや麻薬中毒などで起こる場合もありますが、遺伝的な因子(素因)による影響だという見解も示されています。

 以上をまとめてみると、解明が進んできている部分もあるのですが、他の多くの精神疾患と同様、明確な原因は特定できてはいないのです。

 

 ただ、原因が特定できていないと言っても、発達障害を見るときに、社会的要因・心理的要因・生物学的要因を照らし合わせて確認していくことは必須のことと言えましょう。

(『のび太・ジャイアン症候群―いじめっ子、いじめられっこは同じ心の病が原因だった』 司馬理英子著 主婦の友社 参照)

 

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