母親との関係に悩む
私は、母との関係が重くて学生時代から実家を出て一人暮らしをしていました。就職して今の主人と出会い結婚し、子どもが二人います。兄も家を出て今は外国で何か色々とやっているようで、あまり音信がありません。ずっと父母二人で暮していましたが、2年前に父が亡くなり最近になって母が倒れ入院したと連絡が入りました。
お見舞いに行く気にもなれず、退院して実家に関わることを思うと怖いです。父が亡くなってからは、いつかこんな日が来ることをとても恐れていました。退院してきた母の介護は勿論、会うことさえできそうもありません。実家のご近所や世間は、母親を見捨てる私をどう見るのでしょう。それを思っても身が縮みます。

Aさんのような苦しみを抱えた方々とのカウンセリングでは、それぞれの幼い頃から両親のもとでどんなことを感じながら育ってきたかを一緒に振り返ります。そうすることで改めて小さいときの自分の辛さを理解し、まざまざと感じることができます。
すると、母親に会うことすら怖くてできないと思ってしまう自分を、「そのようなつらい思いをしてきたのなら仕方がない」と認めることができます。
「お母さんの言うことを聞かないと、ひどい目に合うよ」とお母さんの言葉に、呪いのように縛られていること思うこともあります。この呪縛に「ああ縛られていたんだ」と気づくことができると、「怖かった」と過去のことになり解き放たれます。
もう「お母さんの言うことをきかない悪い子」ではなく、自分で判断できる大人になっています。お母さんに会うのはやはり怖いけれど、会ってみてどう感じるかその時の自分の気持ちを聞きながら、できることをしようと思うことができます。、介護施設を探したり入諸手続きなど、最低限のことはするど心を決めることができていきます。
Aさんのプロセスはどのようになるのでしょう、ご一緒に辿る機会を持てることを願っています。(淵上 規后子)