依存症については、基本的には様々な物質関連の障害がその主たるものとなるのが、精神医学の考え方であろう。そのことは、今回のDSM-5(アメリカの精神疾患の診断・分類マニュアル)にも反映されている。
その中では、
アルコール
カフェイン
大麻
幻覚薬
吸入剤
鎮静薬(オピオイド、睡眠薬、抗不安薬)
精神刺激薬
タバコ
その他
などがあげられている。
これらの高頻度の使用が続き、それらがなくてはいけないというようなことになり、社会的な問題をも引き起こしたり、ひいては当人の心理的な側面にも大きな影響を与えるものである。
乱用という言葉は、今回の診断からは外された。乱用ということは、嗜癖よりも頻度としては低い使用として特に若年者に対して使われるということが想定されていたようであるが、今回の改訂は、若年者に対する過剰なレッテルにならないことを注意喚起する声もある(Frances,A.2013/2014)。
専門家の中では、依存症ということを行動にも広げて考えるのも、決して珍しい話ではない。実際に、ギャンブル障害という診断名も、上述しているDSM-5に示されている。先日、日本のパチンコ人口の多さ、これは世界的にもギャンブルに日常的に接する人の多さとして、マスコミに注目されていたが、これらの着目も、診断基準の明確化によるものであり、ギャンブル依存の治療に関わっている人にとっては本当に大切な一里塚となるはずである。
一方、このような行動を全て依存症というくくりでみなすことの難しさもある。買い物、インターネット、セックスなど、社会的に声が上げられており、日常的に耳にするものではある。確かに支援が必要であることは間違いない。
精神医療の中での診断を下すということと、治療を受けるということは、=ではない。それらは、≒なのだと考えられ、柔軟に専門家も悩みを抱えている人も共に協力して取り組むことで、苦しみ、問題の解決へと進むことの援助を続けていきたい。