今回は、ある例を共有させていただきます。
Aさんは29歳の女性です。学生の頃は友達や先生、現在は職場の同僚や 上司とうまく付き合い続けることができずに生きづらさを感じていました。
毎回今度こそはうまく振る舞って自分にとって居心地のいい場所にしようと努力しているのです。しかし、日にちを重ねていくと嫌いな人や信じられない人が増え、自分の居場所ではなくなっていく・・・人目を気にし、思っていることを誰にも言えず、苦痛な時間が増えてしまうのです。
そんな辛い毎日をなんとか過ごしていたAさんですが半年が過ぎた頃、とうとう職場に行くと心は頑張ろうとしているのに体の方が拒否反応(めまい・頭痛・腹痛)を示すようになったのです。
⇓ カウンセリング ⇓
Aさんは大変厳しいご両親に育てられ、長女として妹はしなくていい手伝いも言い訳することなくこなしてきました。
思ったことを口にすると全否定する勢いで怒鳴られます。友達と遊ぶ約束も家の手伝いが優先。自分の考えや感情には気づかないように両親の価値観に合わせて生きてきたのです。この事実を当たり前の事だと思い込み、自分を押し殺しているとは思ってもみませんでした。
カウンセリングを重ねAさんは自分の考えや感情に気づき素直にその思いを受け入れ、過去の大嫌いだった自分を認めてあげることができたのです。 そして『先日、母親に自分の思っていることを言ってみたらあまりにもすんなり受け入れられて!!』と嬉しそうに話してくれたのです。
今までは絶対的な存在である母に何も言えなかったAさんが“自分”の考えや感情の重要性に気づき“自分”を表現することをスタートできた瞬間です。
少しずつ幼いころに傷付いた心についても両親に話していこうと計画中です。今の自分なら両親に自分の思いを伝えられる・・・ 成育歴の中で自己表現力を習得する機会をもてず、未熟なコミュニケーションにより他人との間に誤解や勘違いが生じ、人間関係がうまくいかなくなることを繰り返していたのです。
これからはどの場面でも“自分”を表現していくことで、親に作られた自分と決別し自分らしい生き方を探していきたいと力強く語ってくださいました。
カウンセリングを始めたころ、Aさんの大切な価値観は父親に言われ育った言葉でした。そして今・・・自分自身の大切な価値観を見つけました。
(個人情報の守秘のために、多少の修正等を行っておりますのでご了解ください)