近年、学校や医療機関及び産業領域において、発達障害の理解が求められることが多くなってきています。しばしば「注意欠陥/多動性障害(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder:AD/HD)や一時話題になったアスペルガー障害を含む広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder:PDD)といったものがその中心になります。
例えば、以下のような人として観察されることもあります。
上司A:この仕事やってくれるかな。
部下B:えっ、その必要はないですよね。
上司A:お願いしているんだけれども。
部下B:なんで私に仕事を振るんですか!
上司A:手が空いているようだったからね。
部下B:そんなことはありません!
その後上司が困っていたため、他のCさんがBさんに話を聞いてみると、BさんはBさんで断ろうと思っていないのに衝動的に「No!」と言ってしまうことで自分自身困っているようでした。Bさんは自分でもなんともできずに、ただ職場の皆とは関係がギクシャクしてきていることは感じており、それが更に問題を深めているようです。
Bさんは無意味だと思っていることがやめられず、嫌なことが浮かぶとその考えに取り付かれてしまい、気持ちの切り替えがうまくいかないようです。
親D:Eちゃん(自分の子供)、何でいつもこんなに悪い成績なの。しっかりやっているの?
子供E:やろうとしているよ。
親D:宿題もいつもだらだらやっているでしょう。
子供E:一生懸命やっているよ。
(Dさんから見ると15分で終わると思われる宿題に、数時間もかけてだらだらやっているように見えるのです)
親D:あなたはやれば出来るのよ。頑張るのよ。
子供E:・・・うん。
Eちゃんは、学校の先生からも「やれば出来るのにやらない」と言われています。ちょっとしたことで集中が途切れてしまい、じっと座って話を聞いていたりすることも難しいようです。友達もいるのですが、遊ぶよりは一人で何かしていることが多いようです。気になって今までに知能検査や心理テストを受けたりもしましたが、悪くないという結果ももらっています。Eちゃんにしてみると、様々なことはすでになんとなく理解できてしまっていること(今更取り組んでもそれほどの刺激はないこと)、それよりも内から湧き出る様々な思いに突き動かされるかのように行動してしまうのです。
Fさん:Gさん、あなたとはもうやっていけないよ。友達もやめよう。
Gさん:えっ、なんで・・・。私なんかした?
Fさん:本当にわからないの。いい加減にしてよ。今まで一緒にやってきたけど、あなたは私のこと何も聞いてくれないじゃないの。私が悩みを持ちかけた時も自分の空想の世界に入ってしまうし、つまらなそうにしているばっかりじゃない。
Gさん:えっ、そう?よく「天然」とは言われるけど、そんなつもりはないよ。
Fさん:とにかく、ちょっと私はあなたとは付き合いたくないわ。悪いけどね。
Gさんは周りからはぼんやりした「天然」と言われることは多かったようですが、それ程問題だとは認識していませんでした。Gさんとしては、細かく気を使って動いているつもりなのですが、確かに結果を見てみると何も進んでいないことが殆どです。今付き合っている友達は、Gさんのことを「そういう人」と許してくれているようで、それを大切にしようと思っているのですが、自分ではどのようにすればよいのか分からなくて不安も抱えています。