私の愉しみ~光~【植村】
[2012年11月18日]
ヨーロッパに行くと、どんな小さな村にも不釣り合いなほど立派な教会がある。
私たちは教会をみると、天にそびえるゴチックの尖塔や複雑なタンバンに目を奪われる。
しかし、教会はこの世の天国であり、その中で祈る人に天国を感じさせるための様々な
仕掛けが施してある。
その代表的なものが光である。
バラ窓やステンドグラスは、ただ眺めるためにあるのではなく、差し込む光を赤や青の
幻想的な光彩に変えて、床や椅子や、時にはキリストやマリアの像に、天国の絵画を
描き出す。
それは一瞬の幻のようであり、それゆえに人々は天国の存在を知るのであろう。
現代の科学は、レンズとC-MOSを通じて、一瞬の幻を電気信号に変え、パソコン上に
永遠の絵画として定着する。
それは、神聖なものを独り占めしてしまったような罪悪感と満足感に満たされる時でもある。