病態と診断
[2014年09月10日]
統合失調症、過去には精神分裂病と呼ばれた精神疾患は、過去には人生の終末を連想させるようなものであったとも聞く。実際に、過去の精神病院ではコミュニケーションすら間々ならない人たちをよく目にした。
現在、確かにその症状の軽重は様々であるが、向精神薬の進歩のおかげもあり、他の理由もあるようだが、病態像は随分と軽いものになってきたとの報告もある。
診断も、短期精神病性障害(1ヶ月未満)<統合失調症様障害(6ヶ月未満)<統合失調症(6ヶ月以上)というように、症状の持続期間により変化するようである。これは、統合失調症の診断を正確に行うことの重要性と共に、期間が短いほど予後がよいということ、診断の及ぼす影響などが加味されているとのことである。
統合失調症の症状は、妄想や幻覚など、人によって大きな幅があるが、自分の存在が不確かになるような恐怖とも言える。短期的に、大きな環境の変化や衝撃によりアイデンティティーの統一が瓦解したかのように感じられるときはある。精神科医が統合失調症かどうかを見極めるのを、基本的なこととするのも、その苦しみの大きさから想像しても、納得のいくことである。