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AD/HD(注意欠陥/多動性障害)

 

まず、AD/HD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder)とはどのようなものなのか、簡単に医療現場で使われている診断基準を参考に見てみます。AD/HDは7歳未満に発症し、多動性、不注意、衝動性を症状の特徴とする発達障害の一つと言われており、症状に従い、さらに次の3つに分類されています。

 

・「混合型」…不注意と多動・衝動性の両方の症状が見られる

・「不注意優勢型」…不注意は見られるが多動・衝動性が見られない

・「多動性・衝動性優勢型」…多動・衝動性は見られるが、不注意は見られない

 

不注意とは、容易に気をそらされてしまい、細部にまで注意を向けたり、特定の課題に注意を維持したり、指示を聞いたり、始めたことをやり終えたりすることに困難を感じてしまうことです。多動・衝動性とは、じっと座っているのが困難で、そわそわし、不適切な状況で走り回ったり、のぼったりするし、順番を待つことができない。人の話が聞いているように見えず、忍耐や集中力を要するような活動に困難を感じてしまうことです。

(『DSM-Ⅳ‐TR ケースブック』APA 高橋三郎他訳 参照)

 

一般にAD/HDは、多動性が少ない不注意優勢型である場合が多いと思われます。また、子どもではICD-10による多動性障害(Hyperkinetic Disorders F90)の診断名が適用されることも多くあるようです。

(『DSM-Ⅳ-TR 精神疾病の分類と診断の手引 改訂版』 髙橋三郎・大野裕・染矢俊幸訳 医学書院 参照)

 

AD/HDの歴史的背景

 

発達障害のAD/HDは、ずいぶんと昔から報告されています。欧米では行動、認知、情緒の障害を持つ子どもは100年ほど前から注目されており、「親のしつけが悪い、育った環境に原因がある、「呪われた悪魔の子」として生まれたどうしようもない子」などと説明されてきました。

医学的な研究では、1902年にイギリスの小児科医であるジョージ・スティルが「子どもたちにおける若干の異常精神状態」という講演で、多動児の事例を紹介し、こうした症状が脳障害や遺伝的原因によって引き起こされると発表したことが始まりとされています。その後、多くの研究者の間で、幼少期に受けた脳損傷が原因となる障害であると考えられるようになります。日本においても、これらの障害はMBD(脳微細機能障害)という名で、注目を集めました。そして、1960年ごろには、発達心理学者のステラ・チェスらが多動児症候群と命名し、1970年代には、これらの特徴として

①     注意力と努力の欠如

②     衝動性

③     刺激の強さをコントロールできない

④     すぐ結果があらわれないと気がすまない

の4つが共通点としてあげられました。1980年にはDSM-Ⅲ(アメリカの精神疾患の分類・診断基準であり、広く日本においても使われている)において「注意欠陥障害Attention Deficit Disorder:ADD」の名称が用いられ、1994年に改定されたDSM-Ⅳにおいて現在の「注意欠陥/多動性障害(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder:AD/HD)という名称に変更されました。

(『ADHD臨床ハンドブック』 中根晃著 金剛出版 参照)

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 近年、学校や医療機関及び産業領域において、発達障害の理解が求められることが多くなってきています。しばしば「注意欠陥/多動性障害(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder:AD/HD)や一時話題になったアスペルガー障害を含む広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder:PDD)といったものがその中心になります。

 

 例えば、以下のような人として観察されることもあります。

 

上司A:この仕事やってくれるかな。

部下B:えっ、その必要はないですよね。

上司A:お願いしているんだけれども。

部下B:なんで私に仕事を振るんですか!

上司A:手が空いているようだったからね。

部下B:そんなことはありません!

 

その後上司が困っていたため、他のCさんがBさんに話を聞いてみると、BさんはBさんで断ろうと思っていないのに衝動的に「No!」と言ってしまうことで自分自身困っているようでした。Bさんは自分でもなんともできずに、ただ職場の皆とは関係がギクシャクしてきていることは感じており、それが更に問題を深めているようです。

 Bさんは無意味だと思っていることがやめられず、嫌なことが浮かぶとその考えに取り付かれてしまい、気持ちの切り替えがうまくいかないようです。

 

親D:Eちゃん(自分の子供)、何でいつもこんなに悪い成績なの。しっかりやっているの?

子供E:やろうとしているよ。

親D:宿題もいつもだらだらやっているでしょう。

子供E:一生懸命やっているよ。

 (Dさんから見ると15分で終わると思われる宿題に、数時間もかけてだらだらやっているように見えるのです)

親D:あなたはやれば出来るのよ。頑張るのよ。

子供E:・・・うん。

 

Eちゃんは、学校の先生からも「やれば出来るのにやらない」と言われています。ちょっとしたことで集中が途切れてしまい、じっと座って話を聞いていたりすることも難しいようです。友達もいるのですが、遊ぶよりは一人で何かしていることが多いようです。気になって今までに知能検査や心理テストを受けたりもしましたが、悪くないという結果ももらっています。Eちゃんにしてみると、様々なことはすでになんとなく理解できてしまっていること(今更取り組んでもそれほどの刺激はないこと)、それよりも内から湧き出る様々な思いに突き動かされるかのように行動してしまうのです。

 

Fさん:Gさん、あなたとはもうやっていけないよ。友達もやめよう。

Gさん:えっ、なんで・・・。私なんかした?

Fさん:本当にわからないの。いい加減にしてよ。今まで一緒にやってきたけど、あなたは私のこと何も聞いてくれないじゃないの。私が悩みを持ちかけた時も自分の空想の世界に入ってしまうし、つまらなそうにしているばっかりじゃない。

Gさん:えっ、そう?よく「天然」とは言われるけど、そんなつもりはないよ。

Fさん:とにかく、ちょっと私はあなたとは付き合いたくないわ。悪いけどね。

 

Gさんは周りからはぼんやりした「天然」と言われることは多かったようですが、それ程問題だとは認識していませんでした。Gさんとしては、細かく気を使って動いているつもりなのですが、確かに結果を見てみると何も進んでいないことが殆どです。今付き合っている友達は、Gさんのことを「そういう人」と許してくれているようで、それを大切にしようと思っているのですが、自分ではどのようにすればよいのか分からなくて不安も抱えています。

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境界性パーソナリティ障害の人への接し方のコツ

 境界性パーソナリティ障害の人と同様、時にはそれ以上にその周囲にいる人は悩まされます。「何とかして助けてあげたい」、「実は自分も相当辛い」、「本当に病気なのだろうか」といった思いが交錯し、疲れ果ててしまっていることもしばしばです。まず、周囲の人は当人の苦しさとは別に安定し幸せになってしまうことが大切です。境界性パーソナリティ障害で苦しんでいる人はそれを見習い、やがて取り入れ、安心して健全な精神を取り戻します。その意味で、適切な幸せを満喫することができるモデルになることが必要なのです。穏やかで安心感のある家庭や職場、学校を築くよう努めて下さい。問題探しや、その問題を起こした人を探し出して問い詰めるような犯人探しはやめる必要があります。

 その他具体的に、いくつかのポイントを示します

 

・     苦しいことは理解している、と共感的理解を示す

・     できる範囲でサポートしたいことも示す

・     できないこともしっかりと伝え、限界設定を設ける

・     決めたルールや限界設定はころころ変えず、スタンスは一貫したものに保つ

・     どうしたらよいかは、本人に考えさせる

・     自殺企図などには、「行動制限」で対処する(行動制限の極端なものは、強制入院もその一つですが、簡単なものとしてはしたかった予定を延期する、といったこともあります)

・     過干渉にならない!!(さびしく感じるかもしれませんが、適切な距離感が必要です)

・     状態の変化に一喜一憂しないで、長く見守るつもりで

・     自分自身を大切に、心と体をゆっくりと休める!!

(ジェロルド.J.クライスマン他著『境界性人格障害のすべて』2004年 ヴォイス 参照)

 

境界性パーソナリティ障害(BPD)の経過

 境界性パーソナリティ障害の症状としては、抑うつ、一過性の精神病状態を呈することもあり、症状が定まらず多様化しているのが実状です。一般的には、自分の起こした衝動的な行動などを後悔し、抑うつ症状を示すことがとても多く見られますが、若い女性などでは摂食障害(拒食症または過食症)を併発するケースも多く見られます。治療(カウンセリングその他)は長期化する(2年~5年という報告などあり)ものが多く報告されています。治療機関も一箇所に定まらずに点々とすることもあり、らせん状に一進一退の治療過程を経ると、加齢とともに対人関係も職業面の機能もはるかに改善し、症状が消失していくものもあります。

(J.G.ガンダーソン著 黒田章史訳 『境界性パーソナリティ障害 クリニカル・ガイド』2006年 金剛出版 参照)

 

境界性パーソナリティ障害(BPD)からの回復

こころの傷は外からみえません。身体の傷であれば、その傷の程度に応じた治療方法が明確に示され、傷が回復していく様が周囲の人にも理解できますが、こころの傷となると、周囲の人々も理解できずに思いもかけずにこころの傷を広げてしまうことさえまれではありません。

 

 境界性パーソナリティ障害の場合、本人もその周囲の人も困難な状況に陥っていることが多々あります。回復への道は平坦ではありませんが、境界性パーソナリティ障害の正しい理解と回復までのプロセスに、こころの専門家の存在は大いに役立つことになるでしょう。

 とはいえ、こころの専門家がこころの傷を一瞬で治す魔法の杖を持っているわけではなく、問題に直面している人との地道で粘り強い関わりを基に、つまり相互の信頼関係を基盤に個々の変化の過程に適切に対応していくのです。

 

こころの時代が叫ばれている今、私たち心理臨床家は如何にして心理援助を行うことが出来るのか、絶えず新しい研究結果に触れながら検討を続けております。

 

東京メンタルヘルス・カウンセリングセンターでは、皆様をお手伝いするために、様々なカウンセリング、グループといったメニューをご用意しています。皆様のご利用を心よりお待ち申し上げます。

 

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[2012年11月05日]

アプローチ

 症状を抑えるという点では対症療法的ではありますが薬物療法がある程度効果があることもわかっており、ほとんどすべての患者がなんらかの薬物療法を受けているという報告があります。

アプローチの一例として、2006年に行われた弁証法的行動療法(DBT)のワークショップ中で指摘されているアプローチを紹介します。弁証法的行動療法は、アメリカにおいて唯一境界性パーソナリティ障害に対して有効なものとして研究援助が続けられているものです。

 

・     治療(カウンセリング)を台無しにしがちな行動の減少

BPDの人は、感情のジェットコースターに乗っているようだ、と言われるほど情動が不安定であり希死念慮が高まることも多く、安定した治療を続けることを困難にするような行動を取ろうとすることもあります。BPDの人の治療段階にもよりますが、入院といった環境調整から入ることが必要なこともあります。

東京メンタルヘルス・カウンセリングセンターでは、来談者の必要とニーズに応じて医療機関とも連携し、それらの判断も含めてサポート体制を構築していきます。

・     スキルを高める(認知行動療法など)

情動の調節や、苦痛への耐性、対人関係能力の向上など、社会適応訓練(SST)なども含めたスキルの向上が必要になります。認知行動療法は、現在第三世代に入ったと言われ、マインドフルネスの有効性などが指摘されています。自分の考えと感情を確認していけるようになること、そしてそれらとどのように付き合っていくのかを決めていくことも必要な要素になります。

・     治療(カウンセリング)を妨げる行動の減少

治療者(カウンセラー等)への巻き込み行動や、家族や他の人を巻き込んで治療を妨げようとする行動は減らしてもらう必要があります。治療(カウンセリング)の中では変化の必要性が確認されることもありますが、どんな好ましいとおもわれる変化さえもそれ自体が脅威と感じられることがあるのです。それをどのように進めるかも、カウンセラーとクライエントの間で合意しながら進めていく必要があります。

 

 以上、ごく簡単にまとめると、自分に対しても他人に対しても丁寧に思いやりと愛情を持って接することができるようになることが必要なのです。カウンセリングはクライエントのためにあるのですが、それを自分で自ら台無しにしようとして、結果として自分を大切にすることができなくなるようなことがないようにするのが、最初の目標でもあります。

 

また、カウンセリングを進めていくにあたってその他重要な点の一部を以下に示します

 

枠組み(相談を進めていく上でのルール)

 相談の場所、時間、ペース、許されない行動など、カウンセリングを進めていくうえでその枠組み(ルール)を設定、維持していくことは大切なことです。枠組み(ルール)は、時期によって変化するものですし、それ自体の話し合い自体が治療上で必要であるとともに、有益になることもあります。

限界設定(できること、できないことをはっきりさせ、して良いこと、悪いことを明確にすること)

 クライエントは自分の限界を感じて来室されることが多いのですが、同じくカウンセラーにも限界はあります。その限界を注意深く見守ること、つまりモニターしながらカウンセリングは慎重に進めていくことが必要です。限界を超える状況が解決されることなく続けば、それ自体が誰にとっても好ましくない結果を引き寄せてしまいます。

(ロレーヌ・ベル著 井沢功一朗他訳 『自傷行為とつらい感情に悩む人の為に』2006年 誠信書房 参照)

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[2012年11月05日]

現在の日本における境界性パーソナリティ障害(BPD)への対策

 境界性パーソナリティ障害の存在は、昔と比べて増えてきているとの指摘も多数あり、厚生労働省においても日本版治療ガイドライン作成を目指して研究班を設置するなど、看過できない問題として取り上げてきています。

(成田善弘編『境界性パーソナリティ障害の精神療法-日本版治療ガイドラインを目指して』2006年 金剛出版)

 

境界例について

もともと、境界例と言われる正式な診断名と言えない症例が多く報告されるようになりました。統合失調症といった精神疾患とも言えないし、ノイローゼといった神経症(現在は診断名としては使われていません)よりも重篤に思える症状に対して、つけられ始めたのでした。精神疾患とも言えないし、神経症よりも重篤であるように思われるもの、つまり「境界に存在するもの」という意味でした。

精神病

境界例

神経症

  

 

境界例やボーダーという言葉は、今回説明している境界性パーソナリティ障害という診断名と同意として用いられることが現在は一般的になっていますが、後述するDSMのパーソナリティ障害のB群(自己愛性、演技性、反社会性、境界性)と広義に取られることもあります。現在は、統合失調症よりも気分障害との関連が強いと考えられていますが、もともとは統合失調症と神経症の間に位置すると考えられていた影響で、A群(妄想性、分裂病質、分裂病型)のパーソナリティ障害を思い浮かべる昔からの人もいるようです。実際に、かつて境界例、と言われ始めた時にはA群パーソナリティ障害を示していました。現在ではその意味するものが変わってきたといっても良いでしょう。

 

境界性パーソナリティ障害(BPD)の診断

一般的には、ボーダーラインと呼ばれることが多く、専門家はBPD(ビーピーディー)と呼ぶことが多いです。

境界性パーソナリティ障害の診断基準としては、アメリカ精神医学会(APA)が発行している「精神障害の診断と統計マニュアル」 (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)のことを、略してDSMと呼んでおり、その第四版で、DSM-Ⅳ-TRがあります。診断基準を以下に示します。

  

 対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性の広範な様式で、成人早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。

 次の5つ以上の症状があれば、境界性パーソナリティ障害と診断される。

 

(1)現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力

(2)人に対して、時には、理想化、賞賛し、時には、こき下しする、という両極端を揺れ動く、不安定で激しい対人関係様式

(3)同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像または自己感

(4)自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの

(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い)

(5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し

(6)顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらいら、または不安)

(7)慢性的な空虚感

(8)不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難

(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)

(9)一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性症状

 (高橋三郎、大野裕、染谷俊幸訳 『DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の分類と診断の手引き』 医学書院 参照)

 

 パーソナリティ障害は、少し前まで人格障害と表記されていましたが、人の人格に問題があるかのような印象を与えるということで、表現の変更がされました。

 

DSMではなく、WHO(世界保健機関)のICD-10(国際疾病分類第10版)においては、この分類の中ではF603「情緒不安定性人格障害」の「境界型」に分類されます。

 

境界性パーソナリティ障害(BPD)の状態

 マスターソンらによると、境界性パーソナリティ障害の人格は、強く「良い自分」と「悪い自分」に分裂(スプリッティング)しており、自らのコントロールが出来ないほど激しく入れ替わってしまうことが問題として挙げられます。前述の診断基準の(2)にあったように、他者を過大に評価し理想視(理想化)していたかと思うと、彼らが期待するような形で自分を「わかってもらえない」と察した瞬間から急にこきおろしたり激しい攻撃性を向けたり(脱価値化)する不安定さを持ち、診断基準の(1)で示されるように見捨てられないように、または自分の思うままに操ろうとする結果、他者と安定した関係が保てないのです。

(Masterson M.F. & Lieberman A.R.著 『A Therapist’s Guide to the Personality Disorders』2000年 参照)

 

 境界性パーソナリティ障害の人は大きく二つのタイプに分けられるとも言われます。ひたすら相手に従順に合わせ、相手を待ち続けようとするタイプと、自ら積極的に相手を巻き込んでいくタイプです。後者は、「必要以上の世話を焼こうとする良い人に思うことも出来る人」でもあります。いずれにせよどちらのタイプでも、前述の良い自分・悪い自分の交代が激しく、感情の抑制が出来なくなった時の状態は似たような状態を示します。ただ、周りの人からすると、前者の従順に見えるタイプの人のほうが豹変するように見える為、対応に混乱が強く表れます。

 

 

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[2012年11月05日]

境界性パーソナリティ障害(BPD)の存在

疫学調査では、人口の1~2%程度に存在すると言われており、女性が男性の2倍いると言われています。様々な医学者等によって、本疾患患者の増加も指摘されています。精神科外来患者の約5%強、精神科入院患者の約20%と推定されています。患者の75%が女性であり、気分障害(感情障害)や物質関連障害などを合併することも多く確認されています。

 

境界性パーソナリティ障害(BPD)の原因

 境界性パーソナリティ障害の原因として、かつては3歳頃までの矛盾した愛着関係が指摘されたこともあります。しかし現在は「幼少期のトラウマ体験」と「生理学的な脳の脆弱性」が指摘されており、幼少時よりの長期間に及ぶ否定され続けた(あるいは肯定されない)経験と生物学的な脆弱性の相互作用によって生じると言われています。

 

境界性パーソナリティ障害の人がいる家族に目を向けると、親子間の世代間境界が曖昧であり、父親、母親、子どもそれぞれの家族内における役割が不明確になっており、お互いに認め合いサポートする関係が成立していません。つまり、関係においては

・     肯定されるべき行動がみさかいなく否定される

・     感情を出すことを否定する

・     問題をすぐに片付くものであるかのように軽く取り扱う

といったことがあげられます。

その結果として関係は葛藤に満ち、表面的にはどうであれ怒りや敵意などの激しい感情が渦巻き、相互のサポートに乏しいといった機能不全家族に見られる傾向が多く確認されることになります。境界性パーソナリティ障害の患者の第一度親族(親・子・兄弟姉妹)には、一般人口に対してこの疾患が約5倍多く見られることからも、家族関係の重要性があげられます。

 また、社会心理学の領域及び家族療法の視点より見ると、社会自体の不安傾向と、それを家族という殻で守れない状況、核家族化の影響も考えられますし、発達心理学の視点から見ると、青年期における自己同一性の確立が難しくなっており、同一性が定まらないままに拡散傾向にあり続けてしまうことによって生じているものとも見ることが出来ます。

 いずれにせよ、原因を特定することは難しい状況ではありますが、様々な有益と思える知見が出されているのが実情です。

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[2012年11月05日]

境界性パーソナリティ障害(BPD)の人が直面することの多い問題は、

・     情動の調節不全

・     対人関係の調節不全

・     自己の調節不全

・     行動の調節不全

・     認知の調節不全

などがあげられます。流れとしてまとめてみると、

 

ある出来事や状況に直面した際に

怒りや悲しみなどの感情が出てきて

その感情に圧倒されて自分自身のコントロールを保つことが出来ず

人の助けを借りて何とかしようとはするのだが

感情的になっているが故に人との関係がうまく行かなくなり、適切なサポートを受けられず

人が自分を敬遠するかのような気配を感じて不安になる

自分がどうすればよいのか分からなくなり

自殺関連行動とかの衝動的な自分でも手に負えないような自己破壊行動に走ってしまう

そして、そんな自分に対してボーッとしてしまってよく分からなくなってしまう

 

というようなものです。

 

 このような状態を見てみると、このような方がいかに困った状況が繰り返されていて対処のしようがないところをぐるぐる周り、どうしようもなくなってしまっているのか、想像に難くありません。また、このような状態にいる人に対して、周囲の人も悩まされます。何とかしてあげたくてもその要求は高く、少しでも気に入らないことがあると援助を拒否し、こちらを責め立ててくるからです。

 

少し、境界性パーソナリティ障害について説明していきます。

 

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[2012年11月05日]

以下のような人がいます。

 

 ・ 感情が激しくて止められない

・ 生きるか死ぬかというぎりぎりまで考えが行ってしまう

 ・ 人との関係も上手くいかない

・ すごく親しくなると思ったら疎遠になってしまったりしてしまう

・ どうにも生きづらい

 

 また、そのような人に関わらなければならない場合にも、どうしてよいのか分からず疲れてしまいます。

 

 Aさんは20代前半の女性です。何か気に入らないことがあるだけで、暴れたり親に対してののしり続けたり、「死んでやる」と騒ぐといったことが続いています。Aさん自身は「誰もこの思いをわかってくれない」という思いでどうしてよいのかわからなくなってしまっています。一方、親もどのように対応すればよいのかわからず、一生懸命対応するのだけれども、全てがAさんの思い通りにさせることも出来ずに困惑しています。Aさんは10代半ば頃から抑うつ的な気持ちに襲われることも多々あり、どうしようもない衝動に取り付かれるようになってしまい、そのような時には親を責めたり物を壊したりと大変な騒ぎを起こしてしまっていました。落ち着いている時はとても知的で、魅力的な女性なのですが、今でも困ったことがあると自分でもどうしようもなくなってしまうようです。今は医療につながり、カウンセリングも受けて、少し落ち着いてきました。家からも出て一人暮らしも始め、親との関係も少し離れたものになったことも状態の改善の一要因のようです。

 

 Bさんは、20代の会社員の男性です。仕事に対しての熱意はあるのですが、上司や同僚との関係がこじれることで転職を繰り返しています。人からは「話せると分かる奴なんだが、すぐにプッツンすることが多いんだよね」という評価を受けているとのことです。関係上トラブルが生じていない際にはとてもやさしく知的な面さえ見せてくれる人なのですが、問題が生じると全てがダメなものとして否定的・批判的になってしまい、過剰なまでの攻撃をしてしまって職場にいられなくなる、というのを繰り返してきました。次第に、人のことを信じることができづらくなってきて、孤立するようになってきたので、この先仕事もやっていけるかわからない、といったように自己肯定感も大きく下がってきています。かなり長期にわたるカウンセリングの中で、人への信頼、そして自分への信頼を少しずつ取り戻し、問題に接した時の自分のことも少しずつ観察できるようになって来ました。最近は、自分の状態が過去の家族関係から来ていることもはっきりと自覚できるようになり、振り返るとともに過去の自分を癒してあげる作業を続けています。

 

 Cさんは30代後半の既婚女性です。Cさんは最近仕事を再開しましたが、対人関係が難しくてなかなか継続できません。そんな時にCさんに対して夫は優しいのですが、本当に心を開いてくれる感じがあまりせずに、いつもどことなくさびしさも感じています。Bさんにとって人は、親しくしてくれたと思ったら離れていくので、どのように人付き合いをしていったらよいのか困惑しています。一方、夫によるとCさんは人に甘える時にはとことん甘え、それ以上甘えさせてくれないとなると相手を見限ってしまう、と言っています。Cさんは時折自暴自棄な考えも出てくるようになってしまい、実は昔から自分の中にあった過激な側面に気がつき、自分でも苦しくてたまらないとのことです。カウンセリングに行ったところ、医療との併用を進められ、通い始めました。現在は、感情の制御のためのセルフ・コントロールの獲得に取り組んでいるところです。

 

 Dさんは、40代後半の女性です。子供が一人いますが、19歳になるこの子供Eさんに悩まされています。Dさん自身は夫との長い別居の末に最近離婚しました。Dさんは手に職があったので一人で働いて子供とやっていけると思っていたのですが、Eさんが最近はことごとくDさんを責め立ててくる、そして謝っても許してくれないし寝る時間も減ってDさんも精神的に限界に感じ始めています。この前など、EさんはDさんとの口論の後に「お前が悪いんだ」と叫んで道路に飛び出そうとしました。心配で仕方ないのですが、自分ではどうしようもなく疲労が重なる一方です。Dさんは最近、カウンセリングの中でEさんとの関わりを振り返る中で、自分自身が夫との関係のこじれから苦しい思いをしていた際にEさんの存在に助けられていたこと、結果としてEさんを情緒的に縛り付けていたこと、Eさんのためにも適切に距離をとる方法を学習し、それぞれ別にやっていく方法を模索している最中です。 (以上の事例は、典型例の一例として作成したものです)

 

 以上の例は、昨今、注目を集めている境界性パーソナリティ障害(BPD)で苦しんでいる人、またその周囲にいて苦しんでいる人についてです。

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[2012年05月26日]

私は過去に随分と長い間、嗜癖問題、つまり依存症の回復援助に取り組み、学んできた。

ふと、このことについて考える機会があったので書いておく。

依存症とは、空っぽな内側を満たそうとする必死の行動であり、それがないと耐えられないもののように感じるものに突き動かされ、本当の自分が求めているものを得られない状態に陥っていることである。

その痛々しいまでの求めてしまう行動を、”渇望”とも呼ぶ。

しかし、依存することで獲得して内側を満たしたと思ったものは、すぐにこぼれ落ち、決してその空っぽな内側を満たすことがない。

過去の生育、様々な経験において、健全に自らを認められ、受け入れられ、満たされた感覚を持つ人は幸いである。しかし、過去にそのような経験が少なくとも、あるいは記憶になくとも、改めてそれを満たしていくことが出来ることは、決して楽なことではないが、多くの回復者の人たちの存在が語っている。

認知行動療法やその他の心理療法においても、その人が何を満たされてこなかったのか、どの様に自分を満たそうとして依存的な行動に走ってしまうのか、より馴染んだ依存行動を取ってしまいがちな自分を止め、それに代わっていくもの探しと対策、内側を満たしていく感覚を育てるべく、継続的に取り組んでいる。

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